FL-BOA
程よいサポート力と扱いやすさをバランスさせながら、足に負担をかけない軽さを目指す。「FL-BOA(エフエル ボア)」はこうしたベーシックな性能に真正面から向き合いました。
ミトンは保温性に優れている他、デザインできる面積が大きいために色やグラフィックを大胆に使うことができます。また生地の面積が大きいので表地の素材感そのものがアピールに繋がるという特徴を備えています。そして何よりもシルエットがかわいい。こうしたことからFLUXではミトンタイプに力を入れています。
「WORK(ワーク)」はその名の通り、ワークグローブのデザインエッセンスを採り入れたグローブです。
軽くシンプルな作りはビギナーから上級者までを幅広くカバーする。
FL-BOAの特徴は、そのフレックスの柔らかさでしょう。FLUX BOOTSの中でもレートは「2」と、最も動きやすいブーツに位置づけられています。
というのもこの製品がターゲットとしてイメージしたのは、ブーツにしなやかさを求める滑り手です。それはたとえば低速域での操作が主体になるビギナーであったり、筋力に自身のない女性であったりしますが、道具のサポート力に頼ることなく筋力でコントロールしたいと考える手応え重視の上級者や、一瞬の反応速度を追い求めるジバーからも支持を集めています。
そうしたしなやかな特性とマッチさせるため、アウトソールには新開発の「STUD2 SOLE(スタッドツー ソール)」を採用しました。個性的なラグパターンからも想像できるように、踏み心地はまるでスケートシューズ。足裏感覚に優れている上だけでなく、ビギナーにありがちなブーツの履き疲れも低減しています。
雪面の段差やギャップまで感じ取ることができる柔らかなアウトソール。上級者にはこの繊細さが大きな武器になる。
レーシングシステムにはBOAを採り入れていますが、シンプルさを追求してシングルダイヤルとしました。またワイヤーはラフな扱いにもへこたれない金属ワイヤー「HP42 SS2(エイチピーヨンジュウニ エスエスツー)」を使用。生半可なことではトラブルを起こさない、堅牢な信頼性を誇っています。
滑りの良い金属製ワイヤーを機能的なレイアウトとすることで、シングルダイヤルならではの簡単さと確実な締め付けを実現。
最上部のガイドはフックを使った脱着式。素早い開放と同時に、ワイヤーを外すことでブーツの開口部を大きくとり、スノーボードブーツの扱いに不慣れなビギナーでも無理なく脱着できるよう工夫されている。もちろん上級者なら、このガイドはつけっぱなしでOK。
またレースレイアウトはスネを中心にホールドするようデザインされており、足首から先の自由さを確保しながら、足全体をしなやかに締め付けます。こうしたスネ部のフィット性を向上させるため、アッパーシェルがスムースに足を包み込むよう「FIT CONTROL TRENCH(フィット コントロール トレンチ)」を搭載。ふくらはぎ部には伸縮性のある素材をオフセットさせた「ASYMMETRIC CALF PANEL(アシンメトリック カーフ パネル)」を使って、快適な履き心地を確保しました。
こうして優れたフィット感を演出しながらも、「NEO NOTCH WINDOW(ネオ ノッチ ウインドウ)」で足首の自由な動きを、「INSTEP NOTCH WINDOW(インステップ ノッチ ウインドウ)」でつま先部のフィット感を確保。シンプルに「ブーツの上半分でフィット、下半分は動かしやすく」というゾーンによる機能性の棲み分けを確立させています。
サポートを低下させない箇所に切れ込みを入れてフレックスをしなやかにする。NEO NOTCH WINDOWもINSTEP NOTCH WINDOWも、動きやすさを追求するゆえの機能。
インナーには内側と外側で形状を変えてフィット感をアップさせた「ASYM CUT(アシム カット)」を採用。足の動きに細やかに追従しながら、柔らかで快適な履き心地を叶えました。
足首からスネにかけてのサポート力を重視しつつ、パッドを効果的に配置することでアウターとの一体感も演出。
ソフトなクッション性で足裏全体に柔らかく接する「SOFTBED(ソフトベッド)」インソール。保温性に優れる他、アウトソールの感覚を効率よく足裏に伝える。
もしも柔らかいブーツ=初心者用、と思っているなら、一度FL-BOAを手にしてほしいと思います。慣れない人のための柔らかさではなく、反応速度や操作性ゆえの機能的な柔らかさもあります。こうした質の高い柔らかさだからこそ、ビギナーや女性にも自然にマッチする。高い理想を掲げて作り上げたからこそ、ビギナーからパークライダーまでの両極端とも言えるユーザー層を広くカバーすることにつながったというわけです。
FL-BOA製品情報を見る
PHOTO&WRITE:林 拓郎
スノーボードやアウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。
滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と、深いパウダーの冬を堪能中。