TX-BOA

「TX-BOA(ティーエックス ボア)」は多くのフリースタイラーが望む「自由な動きと安心感あふれるサポート力」を両立させたブーツです。

FLUX BOOTSではカタログ上でブーツのフレックスを表示しています。ブーツ選びの際、まず基準になるのはこのフレックスでしょう。20-21シーズンで最もフレキシブルなブーツはフレックスレート2、最もサポート力のあるブーツのフレックスレートは最上レベルの10です。

このレートで考えたとき、スタンダードなブーツのフレックスは6~7。TX-BOAはフレックスレート6と、中上級者が使うブーツの中では標準的なサポート力に設定されていることがよくわかります。

TX-BOAは、高品質なフリースタイルブーツを目指してデザインされています。そのため重視されたのは、フリースタイルブーツとしての基本性能をアップグレードすること。つまり、しっかりしたクッション性やサポート力を備えながらも「動かしやすいこと」です。そのために意識したのがアウトソールやアッパーなど、ブーツ全体に渡って「しなやかさ」を備えていることでした。

アッパーはレザーとナイロンのハイブリッド。頑丈さを確保しながら、いかに動かしやすくするかを追求した。

まず求められたのは、これまで以上にクリアな足裏感覚を得ることです。これは特にジブやグラウンドトリック、パークライドなどに情熱を傾けるライダーたちからの要望として寄せられたものでした。

「FSR Sole(エフエスアール ソール)」はその声に応えたもので、じゅうぶんなグリップを保ちながらも柔らかく、薄い仕上がりを実現しています。これによって踏んでいる位置だけでなく、スノーボードからのフィードバックを敏感に感じ取ることができ、より素早い反応につなげていくことが可能になりました。

指で押せば、ヘコミを感じることができるほどの柔らかさを持った「FSR Sole」。このフレキシブルなソールが、TX-BOAに高い操作性を与えることとなった。

またアッパーは上部と下部を分けた別体構造とすることで、ホールド重視のエリアと、自由な動きを確保するエリアとを分離。左右非対称の「NEO CUFF CUT(ネオ カフ カット)」や、無理なくスネを巻き込むように締め付けるための「FIT CONTROL TRENCH(フィット コントロール トレンチ)」を搭載して、スネでサポートするという手法をとっています。

アッパーは上下で別々の構造になっている。このため上部はスネに対してしっかりしたホールド性を発揮し、下部は自由でストレスのない動きにフォーカスするこが可能になった。また上部構造は左右非対称の「NEO CUFF CUTを採用。外側に掛かる力を支え、内側に向けては動きに余裕をもたせるといった細やかさを見せる。

さらに足首から下では、足首の動きをスムースにする「NEO NOTCH WINDOW(ネオ ノッチ ウインドウ)」や、微妙な荷重コントロールを目指して指の動きをいっそう自由にする「INSTEP NOTCH WINDOW(インステップ ノッチ ウインドウ)」などを採用。これまでよりもさらにストレスのない操作感を確保することに成功しています。

トーボックスの付け根、足の指の付け根に当たる部分に設けられた「INSTEP NOTCH WINDOW」。足の指の動きを自由にすると共に、自然な甲の締め付けを実現。これまでブーツの中でどうしても解消できなかった足の横方向へのブレを、見事に押さえることに成功している。

また体重をしっかり支えるインソール「BMZ-CCLP(ビーエムゼット シーシーピー)」を備えた「F2(エフツー)」インナーは、柔らかく脚全体を包み込む極上のフィット感を実現しました。

滑り手の身体に直接接するインソールとインナーには、特別に気を使った。ホールド性はもちろん、温かさや履き心地など、冬の一日を快適に過ごす工夫も盛り込まれている。

こうしたハイレベルなユニットを組み合わせることで、安定したホールド感を保ちながらも、動きにストレスを感じさせないブーツが完成したというわけです。

さらにスネをしっかりホールドし、足首から下は自由な動きを確保するという特性をフルに活かすために、レーシングシステムには「BOA(ボア)」を上下で締め分けができる「Sequence Dual Zone(シークェンス デュアル ゾーン)」で搭載。ダイヤルには今シーズンから投入される新型リール「H4(エイチフォー)」を使い、ワイヤーは非金属のために滑りがよく締め付け感が柔らかい「Softlace TX3(ソフトレース ティーエックススリー)」を採り入れました。

「BOA」はアッパーとローワーで締め分けができるデュアルゾーンを採用。レースが非金属になったことで滑りもよく、いっそうしなやかな締め付けが可能になった。さらにダイヤルには新型の「H4」を採用。ダイヤルがより薄くなってウエアとの干渉が軽減されたほか、メインテナンス性が大幅に向上している。

気になったところは徹底して改良していく。こうした姿勢が積み重なったことで、TX-BOAには数多くの機構が盛り込まれています。それは「動きやすいブーツ=柔らかいブーツ」という安易な答えに甘んじることなく、「動きやすく、なおかつサポート力に優れるブーツ」を追求してきた累積の証です。

飾り気のない、高品質な履きやすさ。これこそ、TXが求める真のベーシックなのです。

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PHOTO&WRITE:林 拓郎

スノーボードやアウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。
滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と、深いパウダーの冬を堪能中。