DSW
シリーズ/FLAT ROCKER
バリエーション/機能特化
自由に動けるバインディングがほしい。その想いに応えるのはルーズなストラップや、柔らかいハイバックを備えた製品ではないかもしれません。
滑っているあいだ、スノーボードはさまざまな力がかかって、曲がり、ねじれ、たわんでいます。FLAT ROCKER(フラットロッカー)シリーズはそうした複雑な動きを可能な限りじゃませず、スノーボードがもつ本来の特性と乗り味を活かすために設計されています。
「動きやすい」の意味をきちんと理解して形にする。FLAT ROCKERは、すべてを基本から考え直すゼロリセットから始まった。
そのコンセプトを満たすために作り上げたのが「Ultima(ウルティマ)」ベースプレートです。このベースプレートはスノーボードに接する左右部分のカドを大きく落としました。思い切ってカドを丸くしたことで、ベースプレートを後ろから見たとき、ちょうどフラットロッカーのスノーボードのような形になっています。この形状こそ、FLAT ROCKERシリーズの名前の由来です。
ベースプレートのカドを落とすことでスノーボードへの当たりを穏やかにして、パワーの伝わり方の変化を滑らかにする。それがどれだけ大きな効果に繋がるかは、FLAT ROCKERを体験することで改めて知らされることになる。
最大のメリットはスノーボードに対して、カドで当たるパーツが存在しなくなったということです。これによってスノーボードのフレックスを最大限に活かしながら、バインディングのパワーを滑らかに伝えることができるようになりました。結果として、カーヴィングのように正確で精密なフレックスを求める場面での操作性が向上。これまでとはまったく違う、シュアなフィーリングを生み出すことに成功しています。
またベースプレートとスノーボードとの当たりが穏やかになったことは、滑り手が前後方向に大きな体重移動をする際、神経質な操作を求めないという効果にもつながりました。たとえばジブやジャンプ、あるいはカーヴィングで大胆に体重移動をしながらも、狙った重心位置を得られた瞬間に「ドン!」と踏んでいく。そんな、メリハリのある操作を実現することにも繋がっています。
こうしてスノーボード前後方向の体重移動には余裕をもたせながらも、エッジ・トゥ・エッジのレスポンスは非常にシャープ。ターンの切り替えやグラウンドトリックのきっかけづくりなど、エッジングが必要な場面では素早さを発揮できるようにバランスを整えています。
エッジへのレスポンスを最大限にいかすためには、ブーツのソールと完璧にフットするベースプレートが必要になる。サイズだけでなく形状までマッチさせるために、細かいピッチで調整可能なアジャスターをレイアウトした。
つまりUltimaベースプレートが目指したのは、力のかかる方向で特性を変えるというマルチな機能性です。この発想を支えるのが「RESISTOR(レジスター)ハイバック」です。FLAT ROCKERシリーズのスタンダードモデル「DS」ではしなやかで反発のあるRESISTOR ハイバックを採用。ターンを安定させ、トリック時の微妙な力加減にも応えてくれることで好評のパーツですが、Ultimaベースプレートの大胆な体重移動を考えたとき、FLUX BINDINGSが持ち続けているアイデアが継承されました。それがウイングです。
「DSW」ではハイバックの外側に大型のウイングをレイアウト。スネの外側をサポートすることでターンやカーヴィングはもちろん、プレスやオーリーなどでも、これまで以上にダイナミックな動きを受け止めることができるようになりました。
外側斜め後ろへのチカラをしっかりとサポートするハイバック形状。しなやかに変形しながらも、変形の最終過程ではパワーをがっしり受け止める。ナイロン素材の特性と形状でかなえた抜群のバランスに、ウイングを取り付けることで特別な方向でのサポート力を実現。
フットベッドには微妙な体重移動を的確に支えながらも、雪が付きづらい「Footon(フットオン)」を採用しています。またアンクルには「Waffle Strap(ワッフル ストラップ)」を使い、「UU Fit(ユーユー フィット)」とのマッチングによって、足首を締め付けることなくホールドするという、極上の装着感を叶えています。
大きく溝を切ってワッフル状のラグを形成することで、足首部の複雑な形状にもしなやかにフィット。
どんなに自由なバインディングであっても、ここだけはしっかりさせたいというポイントがある。UU Fitは360度全周で足首をサポートして安心感触れる装着感を実現した。

当初、このDSWはジブやパークでの使用を狙って開発されました。しかしフタを開けてみるとフリーライド、パウダー、カーヴィングと、ほぼすべてのジャンルの滑り手から高い評価を得ています。彼らが口を揃えるのが「自由に動ける」という点です。それはよりアグレッシブな加重ができる、今まで以上に早いタイミングでトリックのきっかけを作ることができる、といった積極的なライディングスタイルにつながっています。
自由に動ける、という話をするとき、ゴムサンダルをイメージするか、足になじむスケートシューズを基準にするかではまったく違います。動きやすさの本質とは何なのか。それを追求したFLAT ROCKERシリーズでぜひとも「自由に動ける」ことの意味をアップデートしていただきたいと思っています。
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PHOTO&WRITE:林 拓郎
スノーボードやアウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。
滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と、深いパウダーの冬を堪能中。